AI、認知科学、児童教育の研究者であるスガタ・ミトラ氏は、WIRED誌(2013.01.02)で、インターネットを介した「学び」は既存の教育を消滅させる、そして、未来の子供に教えるべきことは、3つだけであると述べています。
その3つとは、即ち、「読み書きの能力」「必要な情報を得る能力」「そして、その情報の価値を判断する能力」です。
初めの2つは、現代では割合に簡単です。
しかし、最後の「情報の価値を判断する」ことは、とても難しいかもしれません。
それを子供に教えるより先に、大人が習得する必要があります。
そこで、この「情報の価値を判断する」ことについて、今月行われた、アメリカ大統領選挙を題材にお話しようと思います。
◆権威ある報道機関の情報は信頼出来るか
アメリカでも日本でも、まだまだ多くの人が、情報を主にテレビや新聞等といったマスメディアから得ています。
そして、多くの人が、マスメディアの情報は正しい、少なくとも、悪意のある情報はないと信じています。
それは本当でしょうか?
2016年のアメリカ大統領選挙において、アメリカの主要メディアは、ヒラリー・クリントン候補が圧倒的に優勢であると報道しましたが、結果は、トランプ氏の勝利でした。
2020年の今回の選挙でも、やはり、主要メディアは、バイデン候補が大きくリードしていると報じましたが、実際は大接戦で、特に重要州であるフロリダ州やオハイオ州での予測を外しました(主要メディアの予想に反しトランプ氏勝利)。
これは、「予想なのだから外れることもある」という問題ではありません。
むしろ、大方では当たって当然であると共に、マスコミの予想が人々に与える影響が大きいことに対する責任もあります。
カリフォルニア州弁護士で、日本でも人気があるケント・ギルバート氏は、YouTubeで、「アメリカの主要メディアは恥を知らないといけない」と強い口調で述べています。
大統領選挙で世論調査が大きく外れることは、本来異常なのです。
◆メディアのカラー
アメリカには実に多くの情報メディアが存在します。
ニューヨークタイムズ(新聞)やCNN(放送局)等の主要メディアの他にも、数多くのメディアがあり、インターネットのみのWebマガジンにも評価が高いものがあります。
ところが、主要メディアのほとんどが、最近2回の大統領選の予測を大きく外していることを見ても、主要メディアが必ずしも信頼出来るとは限りません。
なぜ、こんな重要な予想を外すのかと言いますと、その理由の1つは、主要メディアも、決して公平・中立的ではなく、政治的・思想的傾向が明らかにあることです。
日本の新聞も偏向報道が指摘されることがありますが、アメリカのほとんどのメディアは、かなり政治的傾向がはっきりしており、各メディアを、保守派(共和党寄り。右派)、リベラル派(民主党寄り。左派)と分類することが多いのですが、現在の主要メディアの多くがリベラル派(民主党寄り)であり、大統領選挙の予測でも、民主党(クリントン氏やバイデン氏)に有利な報道をしています。
これは、決して、嘘の報道をしているというのではなく、民主党寄りである主要メディアの世論調査では、まず、自分達が応援する民主党が有利な予想を立て、その予想に近付くような偏った調査を行うという話があります。
◆正確な世論調査は可能
世論調査会社トラファルガー・グループは、2016年の大統領選挙の結果と、激戦州での勝敗をほぼ正確に予測しました。
トラファルガー・グループはこれまでも長く、優れた予想をしており、今回はトランプ氏の勝利を予測していましたが、選挙自体が接戦だった上、勝敗を決する鍵と言われるフロリダ州とオハイオ州を正しく予測しています。
また、主要メディアの中でも、比較的中立なFOXニュースでは、トランプ氏優勢としながら接戦の予想を伝えていました。
つまり、政治的偏向がなければ、まともな予想が可能な訳です。
日本のマスコミは、アメリカの左派の主要メディアであるCNNやNBC等の報道をそのまま引用しますので、日本でも多くの人が、バイデン氏圧勝と思っていたはずです。
◆マスコミの増長
影響力が大きなマスコミが権力者のように振舞うことは危険ですが、既にそうなっているかもしれません。
今回のアメリカ大統領選挙は、郵便投票が多かったこともあり、集計に非常に時間がかかりました。
その中で、主要メディアは、早い段階で、応援するバイデン候補が当選確実として、一斉に、バイデン氏を「次期大統領」と報じました。日本のマスコミもそれに倣い、朝日新聞は朝刊一面で「アメリカ大統領バイデン」という大見出しを掲げました。
これは、マスコミが事実を作り上げてしまったことになります。
バイデン氏自身も、それに押されてか、主要メディアが勝利濃厚と報じた時点で「政権移行チームを立ち上げた」と発表しました。
(※注 政権移行チーム自体は基本的には党から指名された時点で作っているので、それを始動させたという意味)
ところが、これらに対し、心ある政治学者や弁護士らが苦言を呈しています。
主要メディアがすっかり、バイデン氏を次期大統領扱いする中で、著名な政治学者で弁護士である、ハーバード大学教授アラン・ダーショウィッツ氏は、「バイデン氏の勝利宣言には法的根拠はない」と注意を喚起しました。
つまり、重要なことは、「大統領を決めるのは法律であり、メディアではない」ということです。
主要メディアの報道によって、人々が、大統領はバイデン氏だと思い込むことは危険なことです。
メディアの使命はジャーナリズム(真実の報道)であるはずなのに、まるで自分達が真実、あるいは、法であると人々に思い込ませるからです。
◆偏向報道
バイデン氏の勝利がほぼ確定になると、トランプ大統領は選挙結果に不服を申し立て、選挙に不正の疑いがあるとして訴訟を起こすことを発表しました。
ところが、それに対し、主要メディアは一斉にトランプ氏を批判し、「負けを認めないのは潔くない」「根拠のない主張で政治を混乱させている」と、全主要メディアが同じ内容の報道を行い、日本のテレビや新聞も、アメリカの主要メディアを真似、「往生際が悪い」といったネガティブな報道を行っています。
しかし、元アメリカ大統領、ジョージ.W.ブッシュ氏は、「トランプ氏には再集計の請求権および訴訟追行権が当然ある」とトランプ氏の立場を肯定しました。
ところが、アメリカ主要メディア、および、それに追随する日本のメディアは、ブッシュ氏の発言を報道しません。
さらに、メディアのおかしさが現れます。
トランプ氏は、選挙に不正があったとして、弁護団を組織して訴訟を開始しますが、主要メディアは一致して「トランプは unsubstantiated (根拠のない)、fraud claims.(詐欺の申し立て)をしている」と報じ、日本のメディアもやはり、それに従います。
それを見ながら、何も思わないのはおかしいと思います。
例えば、犯罪の容疑者が、いかに嘘のような主張をしても、それを、「根拠がない」とか「詐欺」とは言えません。
根拠があるかないかを決めるのは、メディアではなく裁判所だからです。
メディアに真実を決める権限はありません。
まして、トランプ氏は正当な申し立てをしているのに、メディアが「詐欺の申し立て」と言うのは異常と思います。
しかも、主要メディアは、トランプ陣営の、ルドルフ・ジュリアーニ、シドニー・パウエル、リンカーン・ウッドら、超一流弁護士達の発言を報道しません。
この訴訟に関するトランプ大統領の記者会見をCNNとFOXニュース以外が、「根拠がないから放送しない」と放送を打ち切るということもありました。
また、バイデン氏および、その息子のハンター・バイデン氏の中国・ウクライナでの汚職疑惑については、それなりの証拠があり、本来、メディアが報じないはずがないのですが、民主党寄りの主要メディアはこれを一切報道しませんでした。
◆中小メディアのジャーナリズム
最初に選挙の不正の大きなスクープを行ったのは、オンラインメディアのフェデラリストだったと思います。
アメリカには、主要メディア以外にも、実に多くメディアがあり、質の高い情報で評価されるものも少なくありません。
フェデラリストは、選挙不正の根拠を客観的に示し、それが真実かどうかはともかく、選挙制度に対する良い問題提起をしたと思います。
アメリカの主要メディアの中では、FOXニュースだけが、トランプ陣営の弁護士達のインタビューを放送しました。
FOXニュースは、共和党寄りであるとか、トランプのお抱え放送局だと揶揄されることがありますが、実際は、そんなことはなく、最近でもトランプ氏がFOXニュースを名指しで批判したこともあります。
つまり、FOXニュースは、単に、大手でありながらリベラル派でないという理由だけで、仲間外れにされているような感じです。
そのためか、日本では、英語が出来る人でも、FOXニュースはあまり見ていないはずです。
11月14日、ワシントンでは、不正選挙に抗議するトランプ支持者達が集まって集会が行われました。
これに対し、主要メディアは、「数千人のトランプの熱狂的支持者達が勝手な主張を掲げて騒動を起こした」程度に報じ、日本のメディアも倣いました。
しかし、集会に集まったのは、少なく見積もっても10万人で、実際は50万人であったと言われ、それは、YouTubeの映像を見ても納得出来ると思います。
アメリカに、エポックタイムズという無料のオンライン情報メディアがあります(日本語版もあります)。
中国系メディアでありながら、実質の中国政府である中国共産党を批判する立場を隠しません。
エポックタイムズの情報はアメリカでも高く評価され、日本の知識人の中にも愛読者が多くいます。
ここでは、主要メディアが一切扱わない、選挙不正情報を報道しています。
(ここで言っておきますが、元々現実に、アメリカでは日本と比べて多くの選挙不正が存在します)
確かに、SNSには、選挙不正に関するフェイク(偽)の情報も多くあるのも事実です。
その中で、どの情報が正しいかを自分で判断出来なければ、世界で、本当に何が起こっているか分からないまま、メディアに情報操作される可能性があります。
アメリカでも中国のような情報統制は確実にあると言う有識者は少なくありませんが、日本ではどうでしょうか?
以上です。
当ブログオーナー、KayのAI書籍。 AIを自分で楽しく作成しながら、AIの本質的な考え方を文系の人でも実践的に理解出来ることを目的として書きました。 「モンティ・ホール問題」、「囚人のジレンマ」等をAIは、人間が教えなくても解けることも簡明に示しました。これはとても興味深いと思います。 本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。 |
0 件のコメント:
コメントを投稿